ヤンネ・マルックラ
Janne Markkula
レベルデザイナー
Plead with the Mountain God
Unityで制作されたダークファンタジー・プラットフォームゲーム。
このプロジェクトのレベルデザインの柱
1. 繋がった世界構造。前に行ったエリアに繋がるルート、前に行けなかった場所に行けるようにするパワーアップ。
2. 高低差。Z軸をうまく利用してジャンプアクションに多様性を加えます。最終的に神に会ってもおかしくないぐらい高いところまで登ります。
3. 収集品を見つけるのを面白くするため、いろんなところに配置したり隠したりします。
成果:
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『 Super Rare Games Mixtape Volume #2 』の一部として限定フィジカル・リリース
プロジェクト詳細
開発期間: 4-5週間
開発ツール: Unity
主な担当範囲: レベルデザイン, プログラム, 照明と雰囲気, レベルアート, テクスチャ, パフォーマンス最適化, NPC会話, 世界観設定
チャレンジ: テーマ(建築ホラー)に合うアイデアを考えること, 締め切りまで完成できるようにプロジェクトの範囲を調整すること, デザインからアート、コード、音楽まですべてを一人で行うこと
レベルデザインショーケース
(プレイ動画 + 会話 + 隠しアイテム)
ステージのプレイ動画。すべての会話と隠しアイテムは14:27から始まる別セクションで紹介されます。
設計とプロセス

アップグレード(パワーアップ)の進行の視覚化。
各アップグレードは前のアップグレードがないと入手できません。各アップグレードは、ステージの中央にアクセスする
ために使用することができます。 これはナビゲーションに役立って、収集品を探すために引き返しも可能にします。




開発中のエリアと完成したエリアの比較。

開発の前に撮った取り壊された建物の写真が、冒頭のジャンプセクションのインスピレーションになりました。
ステップ・バイ・ステップのレベルデザイン解説

このステージは、塔のふもとに向かってゆっくりと歩くところから始まります。 あなたの腕には、生気のない女性が抱えられています。

塔のふもとには祭壇があって、そこに抱いている女性を寝かせることができます。 また、フードをかぶった人物たちも見えます。これらの人物に話しかけることも可能ですが、完全に任意です。 ここから自由に探索を始めることができます。 ここはチェックポイントにもなっているので、死んでもまた最初からゆっくり歩く必要はありません。

階段の先には狭い足場があって、そこを歩けば、山の神の審判を受けます。 振り返ると、はるか彼方に登ってきた建物のいくつかが見えます。 本当に遠くまで来たものです。

このステージは、塔のふもとに向かってゆっくりと歩くところから始まります。 あなたの腕には、生気のない女性が抱えられています。
この解説は色々説明しますが、全てではありません。もっと詳しくはページ上部のプレイ動画で見ることができます。
パワーアップ
角
角を取得したら、今まで見えなかったプラットフォームが見えるようになって、ジャンプできるようになります。これらのプラットフォームは次の建物に行くために必要で、ステージ全体で多くの場所で必要です。
これらのプラットフォームを利用して、多くの探索可能の任意ルートも行けるようになります。
爪
爪を手に入れると、ひび割れた壁が破壊できるようになります。
これらの壁の一部はショートカットになって、一部は順路を進むために破壊する必要があります。
今思えば、ひび割れた壁の向こうに収集品を配置したら、探索はもっと面白くなったでしょう。
翼
翼を取得すると、二段ジャンプをできるようになります。二段ジャンプは、最後のいくつかの建物に到達するために必要で、最終的にステージの終わりに到達するためにも必要です。
二段ジャンプでしか到達できない収集品もいくつか
あります。
ショートカット
ステージのいくつかのポイントでは、プレイヤーが
ブロックを押し落としてショートカットを作ることができます。これによって、もしプレイヤーは塔のふもとまで落ちてしまっても、より早く落ちたところに戻ることができます。
もしこのステージをやり直したら、このようなショートカットをもっと入れたいと思います。なぜなら、
このような「物理的な」ショートカットが、ステージのほとんどが頼りにしている単純なチェックポイントシステムよりはるかに満足感を感じさせると思うからです(詳しくは最後の完成した後の感想のセクションで述べます)。
ハート
ステージには合計30個のハートがあって、見つけた数によってゲームのエンディングが2つあります(詳しくは最後の完成した後の感想のセクションで述べます)。
いくつかのハートは、プレイヤーにこの収集品の存在を示すために順路に配置されていますが、ほとんどは任意で、その中にはかなりよく隠されたものもあります。
プレイヤーが1個収集するたびに、UI要素が表示され、30個中何個収集したかが表示されます。
トレーラー
エキストラ


ゲームはPlayStation1のゲームから強い影響を受けていたため、Photoshopを利用してPS1風の表紙を作ってみました。
表表紙は itch.ioページ のカバーイメージになりました。
完成した後の感想
このゲームは、Haunted PS1 Summer of Screams Jam のために、1ヶ月ちょっとの時間を使って作られました。このゲームジャムは、よくある48時間や72時間のものではなく、1ヶ月ぐらい続いたので、興味がありました。
小さなゲームを作るには時間たっぷりと思いましたが、最終的に提出のタイミングはかなりぎりぎりでした。ゲームは仕事後、暇なときに作っていたので、フルタイムの作業ではありませんでした。
プレイヤーさんは、ショートカットや繋がったルートなどのレベルデザインをとても気に入ってくれたようで、ストーリーも多くの人々に共感してもらえたようです(ただし、多くのプレイヤーさんが「ワンダと巨像に似てる」と言っていて、面白いことに、
開発中にそれを意識的に考えたことは全くありませんでした)。
このゲームは『 Super Rare Games Mixtape Volume #2 』の一部として限定フィジカル・リリースもありました。とても小さなリリースでしたが、インディーゲーム開発シーンを高く評価する僕にとっては、キャリアのハイライトのひとつでした。
やり直したら調整したい点
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ショートカットの数を増やす。
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もっと時間があれば、ポータルとチェックポイントより「物理的な」ショートカットをもっと入れたと思います(梯子を落としたり、木を倒して橋を作ったりなど)。ポータルは悪くないですが、このような「物理的な」前のエリアに繋がるショートカットをアンロックすると、ただの目に見えないチェックポイントより満足感が感じられます。
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チェックポイントシステムを調整する。
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チェックポイントシステムは時間的制約から生まれたものです。解決策は、ステージの様々な地点でプレイヤーの位置をセーブし、落ちた場合はそこから続行させるというものでした。
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より本格的なショートカットシステムがあれば、チェックポイントの数を減らすことができたし、各チェックポイントをもっと達成感のあるものにすることができただでしょう。現状の見えないトリガーではなく、もっと面白いインタラクティブなオブジェクトとしてステージに組み込むこともできたかもしれません。
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帰還不能ポイントを再設計。
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ステージの最後の建物を入ると、帰還不能ポイントになりますが、その先にも収集品のハートがいくつかあります。帰還不能ポイントを越える前には、全ての収集品を集めたかどうかははっきりわかりません。つまり、「あ、収集品が足りない、もっと探したい」と思っても、もう後戻りができないため、探しに行くことができません。
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これにはあんまり良い理由がなありません。もしやり直したら、前の建物からどこにも行けるので、端からそこへショートカットを入れると思います。
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異なるエンディングの条件をより明確にする。
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ゲームには、プレイヤーが見つけるハートの数によって2つのエンディングが存在します。プレイヤーの多くはハートを「全部」見つけるとエンディング1を見れると思っていました。実際には大半以上のハートを集めるとエンディング1になっていて、それ以下を集めるとエンディング2になっていました。
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これによって、既にエンディング1を見たプレイヤー(大半以上のハートを見つけたが全部を見つけていない人たち)が、エンディング2を見れるために全てのハートを見つけようとして混乱する事態が生じましたが。
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全てのハートを見つけなくても一番いいエンディングを見れるというデザインは優しいと思いましたが、プレイヤーには
明確ではありませんでした。
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アート、デザイン、音楽、プログラミングは全て僕が担当しました。追加の3Dモデルはカルーラ・ヴェンナーマークが作りました。
ゲームはこちらのURLから無料ダウンロードできます:https://jaymarksman.itch.io/plead-with-the-mountain-god
エキストラ:
Developer Commentary (100% Playthrough) (ディレクターズコメンタリー、英語)
Making Of(メイキング、英語)